高島平ACTのあゆみ
1,高島平ACT設立
ASIAN COMMUNITY TAKASHIMADAIRA(略称 高島平ACT)は、高島平二丁目、三丁目団地に外国籍住民が増加する中で、日本人住民と外国籍住民との懸け橋となることを目的として2011年12月25日に設立されました。設立メンバーは外国にルーツを持つ住民ら4名でした。
1990年代になって外国籍住民が団地に居住するようになり、異なった文化的背景、言語の違いなどにより思いもよらないトラブルが発生するようになりました。高島平ACTは、外国籍住民を対象とした初級日本語支援、多文化講座、クリスマス会などのイベントを通して、地域の日本人住民と外国籍住民との相互理解や交流を行ってきました。
2,NPO法人高島平ACTへ
2012年4月、高島平ACTは特定非営利活動法人として認証され、活動の幅と領域を広げていきました。2013年4月に開かれた理事会で外国籍住民、地域の高齢者が集うことができるフリースペースをつくろうとの決議がなされ、準備活動に入りました。
その間にも、いたばし総合ボランティアセンターの助成を受けて「高島平で外国籍住民と共に多文化共生のまちづくりを考える」連続講座を開催し、高島平新聞社の村中義男さん、二丁目団地に居住する中国籍住民、そして三丁目自治会の宮坂会長が講師となって高島平のまちづくりについて話し合いが行われました。
3,コミュニティ・スペース「ハロハロ」オープン
2013年4月に理事会の決議を受けて、2014年12月に高島平ACTは三丁目団地の-10-1号棟にあるファミリー商店街にコミュニティ・スペース「ハロハロ・グルメ」をオープンしました。座席数20席程度のスペースは高齢者や外国籍住民のくつろぎの場となっていました。
日本語教室、英語、タガログ語教室、認知症カフェ「ハロハロオレンジサロン」、ランチクラブ、お坊さんダイニング、バングラデシュの民族バンドによるライブなど多様な活動を展開してきました。「ハロハロ・グルメ」は3年間のプロジェクトとして計画していたこともあり、2017年4月に地域住民の皆さまに惜しまれながら閉店しました。
2020年4月に理事及び監事が交代し、若返りました。代表理事には三丁目自治会の第4支部長である爲房さんが就任しました。また監事にも中国籍の全雷さんが就任し、高島平団地には中国籍住民が多いことから活躍が期待されましたが、2020年12月26日に急逝しました。
2021年7月からは土肥記念高齢者福祉基金の助成を受けて、4回にわたる多文化講座、外国籍住民を対象とした初級日本語支援、外国籍住民によるスマホ講座の三つのプロジェクトを実施しています。初級日本語支援はコロナウイルスの感染拡大の影響でURの集会所が使用できなくなったため、三丁目自治会の協力により、自治会事務所で継続しました。初級日本語支援には経験豊富な原田和子さんをリーダーとして若い小田琴子さん、三宅さんらも参加し多様な日本語支援が可能になりました。
4,現在の高島平ACT
2025年5月にはバングラデシュ生け花協会(BIA)の訪日団を迎えて二丁目団地の集会所で生け花ワークショップを開催しました。団地住民が延べで200人がワークショップに訪れ、交流を深めました。このワークショップでは団地居住の中高齢者や外国籍住民がボランティアとして活躍しました。きたるべき多文化共生社会とはこのようなものではないかと、参加者は実感していました。
本年6月からは高島第二中学校で日本語が理解できない児童の通訳支援をしている中国籍ボランティアの胡萍(こへい)さん、初級日本語教室の中心となっている小田琴子さんが理事に、また孔維華(こう いか)さん監事に就任しました。いずれも能力もやる気もある若者たちであり、高島平ACTの将来に希望が持てるようになりました。
(吉成 勝男)